【画像】オオサンショウウオ、交雑の危機 外来種捕獲も処分難しく

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【画像】オオサンショウウオ、交雑の危機 外来種捕獲も処分難しく

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三重県名張市を流れる滝川で、国の特別天然記念物「オオサンショウウオ」の保全活動に同市が取り組んでいる。外来種「チュウゴクオオサンショウウオ」の繁
殖で、交雑による遺伝子汚染が進んでおり、外来種や交雑種を捕獲する地道な作業が続く。しかし、チュウゴクオオサンショウウオも絶滅の恐れがある希少種と
され、捕獲後の処遇に関係者は頭を悩ませている。

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保護されたチュウゴクオオサンショウウオとの交雑種=三重県名張市の日本サンショウウオセンターで2014年7月16日

赤目四十八滝(あかめしじゅうはちたき)で知られる滝川上流はオオサンショウウオの一大生息地だ。名張市が保護事業を委託する市民団体「三重自然誌の会」
(同県松阪市)の清水善吉さん(56)ら約10人は8月上旬、現地調査を実施した。四十八滝から約4キロ下流27カ所に網を仕掛け、サンショウウオ7匹を
捕獲した。

捕らえた個体は、四十八滝の入山口にある「日本サンショウウオセンター」で保護し、京都大で遺伝子を調べる。日本固有種のオオサンショウウオなら川に戻し、外来種や交雑種はセンターで管理する。

センターで管理する外来種や交雑種は約50匹に増え、収容能力は限界に近い。市は来年度から廃校のプールを利用する予定だ。外来種・交雑種の処遇につい
て国は方針を示しておらず、市教育委員会の担当者は「国が方向性を示さない限り管理を続けなければならず、市の負担になっている。殺処分も一つの方策と思
う」と話す。

文化庁の担当者も「隔離は財政面などで自治体を圧迫する。殺処分以外は難しいと考えている」という。法律上は殺処分に規制はない。だが、チュウゴクオオ
サンショウウオも希少種の商取引を規制するワシントン条約の対象になっており、同庁担当者は「殺処分の合意形成は難しい。すぐに国が方針を示すことはでき
ない」と話す。

名張市によると、チュウゴクオオサンショウウオは1970年代に食用に輸入され自然界に流入、繁殖や交雑が進んだ。成長が早く、体も大きい。52年に特
別天然記念物に指定されたオオサンショウウオは全国的に減少している。市は滝川に生息するサンショウウオのうち、オオサンショウウオは2~5割とみてい
る。

清水さんは「外来種や交雑種の捕獲を継続しなければ、日本の固有種が絶えてしまう。地道でも活動を続け、食い止めたい」と話している。【谷口拓未】

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