【画像あり】水泳プールで新種の地中生カエルを発見
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コロンビア東部で数週間前、プールで泳いでいた少年が単なる面白いものに留まらない大発見をした。なんと、新種のカエルを見つけてしまったのだ。
「体長4センチほどで、その見た目は相当奇妙なものだ。ずんぐりしていて、脚が短く、脇腹はオレンジ色の斑
点で覆われている」と、世界自然保護基金(WWF)コロンビアの自然保護室長、ルイス・ヘルマン・ナランホ
(Luis German Naranjo)氏は説明する。
ナランホ氏と研究者のチームは、コロンビア東部のオリノコ川流域に広がるオリノコ・サバンナで、小規模農
場に生息する動物を含めた生態系の調査を行っていた。
見つかるのは家畜と似たり寄ったりの動物だろうと考えていたところ、カミリート君という農場主の7歳の息
子に呼ばれ、プールに行ってみて驚いたという。水の中にいたのはまだら模様の小さなカエルだった。
チームのメンバーで爬虫両生類学者であるダニエル・クエンタス(Daniel Cuentas)氏にとって、それは全く
初めて見るカエルだった。そこで、ほかにもっといないか、すぐに探し始めたという。
すぐ近くの、サバンナが木々に覆われた小さな土手にぶつかる辺りで、さらに2匹が見つかった。クエンタス
氏はすぐにそれらを、ヒメアマガエル科(Microhylidae)の地中生のグループと同定した。
このグループについてはまだほとんど解明されていない。乾季の間は地中に潜って過ごし、雨が降ると、好物
のシロアリを獲るためにアリ塚に侵入することがよくあるという。
正式名称が決まり、研究文献がまとめられてからでなければ、はっきりと新種と断定することはできないとナ
ランホ氏は言う。しかし、この両生類を見た爬虫両生類学者らは新種であることは間違いないと考えている。
他の新種カエル
◆不透明な将来
もう1つ問題がある。それは、カエルの生息環境が農地に変わったときに、どのような事態が生じるかという
ことだ。
ナランホ氏によれば、オリノコ・サバンナは、湿潤なアマゾン地域と乾燥したアンデス山脈が交わる広大な熱
帯長草草原地帯であり、長年、不毛の地とされてきた。
しかし、隣国ブラジルで農業とインフラの開発が急速に進んだことで、最近ではヤシ油プランテーション農地
として注目が集まっている。
ナランホ氏らは、作付けが始まる前に、ほとんど調査の進んでいないこの地域を徹底的に調べ上げ、生物多様
性のホットスポットを特定することにした。
「耕作に向いていて、しかし同時に地域の生物多様性に悪影響を与えることのないエリアを特定することが目的
だった」とナランホ氏は語る。
「このままでは失われかねない豊かな生物多様性を持つエリアの保護に、今回のカエルの発見を役立てられれば
と考えている」。
Photograph by Adam Dixon, WWF